「サッカーを始めた日のことを忘れるな」
この言葉は、世界中のファンを魅了した天才プレーヤー、ロナウジーニョの名言です。
華やかなプレーで知られる彼も、幼い頃の“ボールを蹴る楽しさ”を大切にしていたと語っています。
どんなに才能がある子でも、練習がきつく感じたり、思うようにプレーできずにスランプに陥ったりすることがあります。
そんなときに、原点に立ち返らせてくれる“初心の記憶”は、子どもの心を再び動かす大きな力になります。
スランプは誰にでも訪れる
子どもは成長の中で、技術的な壁や心の壁にぶつかることがあります。
- 「最近うまくいかない」
- 「ミスばかりで自信がなくなってきた」
- 「練習がつまらない…やめたいかも」
そんな言葉が出てきたとき、大人はつい「がんばれ!」「諦めるな!」と励ましがちです。
しかし、子ども自身が“なぜ頑張っているのか”を見失っているときは、言葉だけの応援では心に届きません。
初心を思い出す「原体験の言語化」
子どもがサッカーを始めた日、そこには「楽しい!」「できた!」という純粋な気持ちがあったはずです。
その感情を思い出させるために、こんな声かけをしてみてください。
- 「サッカーを始めたとき、どんな気持ちだった?」
- 「最初にゴール決めたとき、どんな顔してたか覚えてる?」
- 「また“あのとき”みたいに、思いっきり楽しんでいいんだよ」
言葉にすることで、子どもの心の中に眠っていた“好きだった気持ち”がふっと蘇ることがあります。
「楽しかった」を思い出せる環境づくり
初心を思い出すためには、心がほっとできる“ゆるやかな時間”も必要です。
- 試合や練習のない日に、親子で軽くボール遊び
- かつて遊んでいた公園でドリブルしてみる
- 好きな選手のプレー動画を一緒に観る
こうした何気ない時間が、初心の記憶を呼び起こし、「あぁ、やっぱりサッカーっていいな」と再確認できるきっかけになります。
スランプ=成長のサインと捉える
子どもがスランプに陥ったとき、親として意識したいのは「これは成長の通過点なんだ」と考えることです。
できていたことができなくなるのは、身体の変化や、プレースタイルの変化に心が追いついていないだけという場合も多くあります。
「今は、ちょっと“自分が変わる途中”なのかもね」
「できないことは悪いことじゃない。今のあなただからこそ感じてる壁だよ」
そんなふうに声をかけることで、子どもは“できない”を前向きに捉えるようになります。
おわりに ―「また、楽しいと思えた」その一言がすべて
サッカーは、勝つことや上手くなることも大切ですが、いちばん大切なのは「楽しい」と感じることです。
子どもが笑顔でボールを追いかけていた日。
地面に転がったボールを必死に追っていた姿。
その原点を思い出せる瞬間こそ、再び歩き出す力になります。
スランプに悩むわが子が、「また、サッカーって楽しいと思えた」とつぶやいたとき、それはきっと、“初心”が未来を照らした瞬間です。
内部リンク
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