「点を取るのは一人でも、勝つのはみんなでだ」
この言葉は、世界屈指のストライカーであるルイス・スアレス選手の名言です。
サッカーというスポーツは、華やかなゴールやドリブルだけが注目されがちですが、本当に重要なのは“チーム全体で勝つ”という感覚です。
今回は、個人プレーが目立つ年代だからこそ伝えたい「チームプレーの価値」について、親や指導者がどのように関わればいいのかを考えていきます。
子どもが見失いやすい「パスの意味」
サッカーを始めたばかりの子どもにとって、ボールを持つことやゴールを決めることはとても楽しいものです。
そのため「自分が目立ちたい」「自分で点を取りたい」という気持ちが先行し、なかなかパスを出さなかったり、味方を見る余裕がなかったりします。
しかし、サッカーは11人でプレーするスポーツ。
パスを通じて仲間とつながり、ゴールへと至る「流れ」を理解できるようになることで、個人プレーを超えた“本当のサッカーの楽しさ”を知ることができます。
「ゴールに至る流れ」を言葉にする
子どもが“チームプレーの価値”を理解するために有効なのが、「試合のふりかえり」です。
たとえば、以下のような問いかけが効果的です。
- 「あのゴール、最初のパスがよかったよね」
- 「ゴールしたけど、○○くんの動きが効いてたと思わない?」
- 「○○くんがスペースを空けてくれたから、ドリブルで行けたよね」
こうした声かけを通じて、子ども自身が“自分以外のプレー”にも意識を向けるようになります。
ゴールに直結しないプレーにも意味があること、味方の動きがゴールにつながっていることに気づけるようになるのです。
パスの選択肢を持てるようになるために
チームプレーを促すうえで、パスの判断はとても大事です。
そのためには、「パスを出す余裕」と「味方を見る視野」を持てるようになる必要があります。
その力を育てるには、
- ボールを持つ前に周囲を見る練習
- ミニゲームでパス回しをテーマにする
- 味方の動きに注目してプレーを考える習慣
といったような練習が効果的です。
また、親としては「なんでパスしなかったの?」ではなく、
「いいところ見えてたね」「今のは迷ったんだね」など、考えるプロセスに寄り添う声かけが子どもの判断力を育ててくれます。
「勝ち」をみんなで喜べる体験を
チームで勝った試合は、得点をした子だけでなく、出場時間が短かった子、声を出して応援していた子も含めて“全員でつかんだ勝利”です。
そんなときは、試合後に「今日はチームみんなでがんばって勝てたね」と伝えるだけでも、子どもにとっては大きな気づきになります。
また、勝てなかった試合でも、「今日は○○くんがカバーしてくれてたね」「あの守備、すごくよかったよ」といったフィードバックが、仲間を意識するきっかけになります。
おわりに ― サッカーの本質は「つながり」にある
点を取るだけがすべてではありません。
サッカーは、味方との“つながり”の中に喜びを見つけるスポーツです。
だからこそ、「点を取った子がえらい」のではなく、
「チームみんなでいいプレーができた」と感じられる体験を、日常的に積み重ねていくことが大切です。
子どもたちが「勝った!」と喜ぶその裏に、どんな仲間の努力があったのか。
それを少しずつ見えるように伝えていくことで、真のチームプレイヤーが育っていくのです。
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