「誰かに勝つんじゃない。昨日の自分に勝て」
この言葉は、世界を舞台に活躍してきたサッカー日本代表・香川真司選手の名言です。
試合に勝つ、レギュラーになる、得点する──
そんな目標の先にある「本当に大切な成長」とは、自分自身の変化に気づき、少しずつでも前に進んでいる感覚なのかもしれません。
今回は、“比較”ではなく“成長”に目を向ける力を、子どもが自然に育んでいけるような関わり方や視点の工夫について考えていきます。
比較が続くと「やる気」を失いやすい
子どもたちは日常的に、無意識のうちに他人と自分を比べています。
- 「○○くんは試合に出てるのに、ぼくは…」
- 「あの子の方が足が速い」
- 「何回やってもできない、もう無理…」
特にサッカーなどのチームスポーツでは、ポジション争いや試合の結果にどうしても“優劣”が生まれやすいものです。
しかし、比較が続くと自己肯定感が下がり、自信を失いやすくなってしまいます。
やがて、「やっても無駄」「向いてない」とあきらめるようになってしまうこともあるのです。
成長の尺度は「昨日の自分」
香川選手が語るように、本当に意識すべきは「昨日の自分よりどうなったか」。
- 昨日はシュートが1本も打てなかった。今日は2本チャレンジした。
- 先週は声が出せなかったけど、今日は自分から「ナイス!」って言えた。
- 体力的にはまだまだだけど、最後まであきらめず走れた。
このように、毎日のちょっとした変化やチャレンジを「成長」として認められる力は、自分自身の軸で進み続ける原動力になります。
親ができる声かけのコツ
子どもが他人と比べて落ち込んでいるとき、つい「そんなことないよ」と励ましたくなりますよね。
しかし、大切なのは“否定”ではなく、“見方の転換”です。
以下のような声かけが有効です。
- 「昨日よりここがよくなってるよね」
- 「前よりも速く動けてたね」
- 「あの時、がんばって戻ってたの気づいたよ」
子どもが気づいていない成長を“見つけてあげる”ことで、自信と前向きな気持ちを育てることができます。
成長を実感できる「記録」や「見える化」
目に見える形で「成長」を記録しておくのも効果的です。
- 練習ノートに「できたこと」「がんばったこと」を一言メモ
- 動画でビフォー・アフターを比べてみる
- 1ヶ月ごとの振り返りを親子で共有する
こうした工夫を通して、「昨日より少しでも前進している」という感覚を自分でつかめるようになっていきます。
子どもの“成長感覚”が未来を変える
自分の成長に気づける子は、どんな環境でも前向きに取り組み、失敗しても立ち直る力を持ちます。
それはサッカーだけでなく、勉強や人間関係、将来の仕事でも大きな力になります。
逆に、「他人と比べるクセ」がついてしまうと、いつまでも不安と劣等感に振り回されがちです。
だからこそ、子どもの頃から「自分基準で考える習慣」をつけることが、将来の土台をつくるのです。
おわりに ― 小さな一歩を認め合おう
「昨日の自分に勝つ」
それは、毎日を大切にしながら、自分自身を超えていくということ。
子どもが何かを達成した時だけでなく、“がんばったプロセス”を見つけてあげること。
それが親としてできる、最高のサポートです。
小さな一歩を積み重ねる子は、やがて大きな夢にも届く力を手に入れます。
焦らず、比べず、今日の自分を少しだけ超えていけるよう、そっと背中を押していきましょう。
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