「この投資信託、利回り○%って書いてあるけど、すごくない?」
初心者にありがちなワナの一つが、“数字のインパクト”に飛びついてしまうこと。
もちろん、利回りは大事な判断材料の一つです。
でも、それだけで良し悪しを判断してしまうのは非常に危険です。
本当に見るべきは、「その投資信託が長く、安定して、自分の目的に合った運用ができるかどうか」。
今回は、**「投資信託の正しい見方」**について、5つのチェックポイントに絞って解説していきます。
① 信託報酬(運用コスト)をチェックせよ
まず必ず確認したいのが**信託報酬(=運用管理費用)**です。
これは、投資信託を保有しているだけで毎日少しずつ差し引かれる「管理コスト」のこと。
年間で0.1%か1.5%かでは、長期投資での差は非常に大きくなります。
例えば、年利5%の運用でも、信託報酬が高ければ実質的な利益はかなり目減りします。
▼目安
・インデックスファンド → 0.1%以下が理想
・アクティブファンド → 高くても1.0%以内を目安に
② トータルリターンで“実力”を測れ
「利回り○%」というのは、直近1年の値動きを示しているにすぎません。
その時点での相場環境に大きく左右されるため、一時的な数字でしかないのです。
それよりも参考にすべきなのが、3年・5年の「トータルリターン」。
これは運用期間中の分配金+値上がり益−コストを含んだ“実質成績”で、運用の腕前や安定性が現れる数字です。
▼ポイント
・トータルリターンが市場平均(指数)と比べてどうか
・長期でプラスになっているか
③ 純資産総額は“ファンドの健康診断”
「純資産総額」は、その投資信託にどれだけの資金が集まっているかを表します。
言い換えれば、「どれくらいの投資家に選ばれているか」の指標です。
この額が少ないファンドは、繰上げ償還(途中で運用が終了するリスク)が高くなるため注意が必要です。
▼目安
・最低でも数十億円以上
・右肩上がりで増えているファンドは人気と実績の証
④ 設定日と運用期間で“地力”を測る
新しいファンドには魅力的な戦略があるかもしれませんが、
運用実績が浅いと“本当に実力があるか”の判断ができません。
▼確認したいこと
・設定から3年以上経過しているか?
・リーマンショックやコロナショックなどの暴落を経験しているか?
長く続いているということは、市場の荒波を乗り越えてきた証拠です。
⑤ 投資対象とスタイルを理解する
そもそも、その投資信託は「どこに」「どんな方法で」投資しているのか。
それが自分の目的やリスク許容度と合っていなければ、どれだけ数字が良くても意味がありません。
▼チェック項目
・米国株?全世界株?債券?REIT?
・インデックス型かアクティブ型か?
・毎月分配型か再投資型か?
目的に合った投資スタイルを選ぶことが、投資信託選びの出発点です。
まとめ:「数字だけで判断しない目」を持とう
投資信託の世界では、「利回り」や「分配金」のような派手な数字が注目されがちです。
でも、それだけでは本質は見えません。
- 信託報酬は低いか
- トータルリターンで実力を測れているか
- 純資産総額が安定しているか
- 運用期間は十分か
- 投資スタイルは自分に合っているか
これらをしっかり確認することで、初めて“納得して選ぶ”ことができるようになります。
表面的な魅力に惑わされず、自分の未来のためにふさわしい1本を見つけていきましょう。
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