資産運用において「どの資産に、どれだけ配分するか」はパフォーマンスの鍵を握ります。
多くの人が「期待リターン」を重視して配分を考えがちですが、実はプロが注目するのは“リスクの平準化”です。
今回は、世界の機関投資家や富裕層も採用する**「ボラティリティ・パリティ戦略」**について解説します。
ボラティリティ・パリティとは?:リスクで配分するという考え方
「ボラティリティ(Volatility)」とは価格の変動性、つまり“リスク”のこと。
「パリティ(Parity)」は“等価”を意味します。
この戦略では、すべての資産クラスがポートフォリオ全体に与えるリスク量を等しくすることを目的とします。
たとえば、一般的な株式と債券のバランス型ポートフォリオ(60:40)では、リスクの大半を株式が占めています。
一方、ボラティリティ・パリティでは変動の小さい債券に多く配分することで、各資産のリスク寄与度を揃えるのです。
レバレッジ債券+株式+ゴールド:代表的な構成例
リスク量を平準化すると、自然と株式よりも債券の比率が高くなります。
ただし、債券はリターンが低いため、そのままだと期待収益が物足りない…
▼資産クラス別の比率と役割(例)
- 株式(米国・全世界):30%
→ 成長エンジン - 債券(長期国債・レバレッジ債券):50%
→ 安定収入とリスク分散 - ゴールド・コモディティ:20%
→ インフレヘッジ・安全資産リスクをならしつつ、リターンも追求するための「ハイブリッド設計」と言えます。
リスクをならしつつ、リターンも追求するための「ハイブリッド設計」と言えます。
リスク調整後リターンを最大化せよ:個人投資家が学ぶべき視点
投資の世界では「リターンが高ければ良い」という考えはすでに古く、
**「どれだけのリスクを取って、その成果を出せたか?」**が問われます。
この視点を数値化したものが「シャープレシオ」や「ソルティノレシオ」。
ボラティリティ・パリティ戦略は、このリスク調整後リターンを最大化するためのロジカルなアプローチです。
実際に活用されているファンド・ETF例
この考え方は、すでに一部の機関投資家やオルタナティブ戦略ファンドで取り入れられています。
代表例:
- 【AQR Volatility Parity Fund】(米国)
- 【All Weather Portfolio(レイ・ダリオ)】
- 【RPAR Risk Parity ETF(ティッカー:RPAR)】
- 【iFreeレバレッジ・S&P500】+【iシェアーズ米国債ETF】の自作バランス構成
日本では馴染みが薄いかもしれませんが、長期投資を前提に「自分だけのリスク管理型ポートフォリオ」を構築する価値は高いといえます。
まとめ:「ボラティリティの平準化」は、新しい資産管理の軸になる
投資における勝利とは「自分にとって最適なリスクと付き合える形」を見つけること。
ボラティリティ・パリティ戦略は、その一つの答えを提示してくれます。
大切なのは、“感情ではなくデータで判断する”こと。
リターンに一喜一憂せず、リスクに誠実に向き合う姿勢が、長期投資の土台になります。
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